理事長所信

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スローガン:「敢為邁往」

理事長 川村佐平治

理事長 川村 佐平治

【はじめに】

明るい豊かな社会を目指し始まった成田青年会議所の運動は46年目を迎えることができました。先輩諸兄がこのまちを愛し、このまちの発展のために様々な運動を展開してきたから今があります。しかし時代が変われば、我々が目指す明るい豊かな社会も変わります。だからこそ我々は50年という節目を前にして、来たる50周年、またその先の50年である100周年を迎えられるように、その歩みをさらに確かなものにしていかなければいけません。

成田青年会議所が活動エリアとする国際都市NARITAは、年間1000万人を超す参拝客を迎える成田山新勝寺、日本最多の国際線旅客数を誇る成田国際空港、国家戦略特区における国際医療都市構想の実現という3本柱が確立しました。しかしまちを形成する人びとがもつ感情は、SNS等によって一方的に発露されることが目立つようになってきました。「まちづくりは人づくりである」と言われるように、このまちを形成する人びとの感情表現を豊かにし、このまちに住む人びとの笑顔を増やしたい。成田国際空港を中心とするNARITAはいくつもの行政区域にまたがっています。それらの行政区域を越え、「このまちを一つにする。」そんな気概をもって運動を展開し、市民が自発的に動き未来に対してアクションを起こせる新しいNARITAを創造しなければいけません。

2017年度は日本青年会議所に関東地区担当常任理事として、関東地区協議会には会長として平野伸一君を輩出させていただくことになりました。成田青年会議所創立以来初のことであり、日本中から成田青年会議所、そしてNARITAが注目される1年になります。思い返せば2014年に関東地区大会を主管させていただいたことで、我々は様々な学びと気づきを得ました。成長の機会をいただいた関東地区協議会に恩返しができる機会があります。様々な学びと気づきが得られる機会がメンバーには与えられます。様々な機会を通して日本中のJAYCEEとのつながりを強く感じる1年になるはずです。

新しいことを始めようとするとき、そのことを担いとすれば負担となる、機会とすれば成長となる。メンバー一人ひとりがそのように考え、成長の機会を求める姿勢を2017年度は貫き通しましょう。青年会議所はよく、人生最後の学び舎であるといわれます。「学び舎だから失敗してもいい。」そう思っていませんか。人生最後の学び舎ならば、今できること今考えられることをすべてやり切りましょう。失敗しないように用意周到にしてすべてをやり切ったとき、人ははじめて成長できるものだと思います。我々が信念をもって何か行動を起こす時、もしかしたら悔しい思いをするかもしれません、もしかしたら自分が取っている行動に迷うかもしれません。そんな時は同志に思いをぶつけて語り合いましょう。様々な壁にぶつかって、それでもその信念を曲げずに貫き通せば必ず成長した我々がこのまちを変えているはずです。成田青年会議所とはそのような組織だと信じています。


【豊かな人脈と交流をもつ会員拡大】

1972年に62名の高き志を持った青年により設立された成田青年会議所はメンバーの増減を繰り返し、2017年は62名を超えるメンバーでスタートを迎えられます。しかし総会員の約4分の1に当たるメンバーが卒業を迎え、2018年にも多くのメンバーが卒業を迎えます。我々の活動エリアは広域なものであり、取り組まなければならない問題は多種多様です。それらの問題を解決するためには様々な意見や価値観をもった人が必要です。より良いNARITAを目指し活動するために、50周年を迎えるときに100名を超えるLOMであることを会員拡大の中期目標に掲げます。

その上で中期目標の1年目である本年は46年の歴史を紡いできた成田青年会議所の豊かな人脈を辿り20名を目標に会員拡大をします。46年の歴史の中には会員拡大に対しての様々な事例が存在します。その中の事例を紐解き、多くのメンバーが卒業する機会をチャンスと捉え、本年は会員拡大を成田青年会議所の運動の1丁目1番地として展開してまいります。

会員拡大をする時に必要となってくることは、どれだけの人を巻き込めるかです。2014年度から続く会員数の純増は拡大委員会が主導となり進めてきた成果でありますが、同時に多くのメンバーが協力した結果でもあります。先輩諸兄の協力もありました。人と人とのつながりを強く意識し、様々な人と交流を深めましょう。


【豊かな感情表現をもつJAYCEEの育成】

会員拡大が組織を大きくすることであるならば会員研修は組織を力強くすることであります。組織の一員であるJAYCEEとしてメンバー一人ひとりの成長が会員研修には求められます。青年会議所でよく言われる「人は人によってしか磨かれない」という言葉には、誰かによって自分が磨かれるだけではなく、自分が誰かを磨くことも含まれているはずです。切磋琢磨という言葉が示すように、メンバーが自分を磨くことだけに固執せず、互いに磨き合うことが重要です。

近年、SNS等の発達によりコミュニケーションが簡単に取れる反面、人と人との密な関わりが少なくなってきています。より親密で良好な人間関係を築くためには、承認欲求を満たしたいがために一方的に自分の感情を吐きだすのではなく、相手を思いやり豊かに感情を表現することが重要です。今年度は感情表現を磨くことに着目し、人間的魅力を磨き、その上でJAYCEEとしての能力を高めてまいります。

また日本全国の会員平均在籍年数が短くなる近年、成田青年会議所においても同様の傾向がみられます。入会したメンバーに対して「習うより慣れよ」では青年会議所を深く理解する前に卒業を迎えてしまいます。青年会議所に入会した動機はひとそれぞれであると思いますが、JAYCEEとしての力を存分に発揮できる環境を整え、心にJAYCEEの炎を灯すことが必要です。


【笑顔溢れるNARITA子育て世代支援】

私は成田国際空港が開港した翌年の1979年に生まれました。生まれながらに成田国際空港が存在する世代であります。我々は成田国際空港があることによって受ける様々な恩恵を当たり前のことに感じてしまい、このまちの未来に無関心になってはいないでしょうか。我々がこのまちの未来、身近な子育てについて真剣に考え取り組む必要があります。

日本は世界に類を見ないスピードで少子化が進んでいます。我々の住まうNARITAも例外ではありません。合計特殊出生率で比べると成田市こそ全国平均を上回っていますが、NARITAとしてみると低い数値になっています。少子化は社会保障の制度自体の機能不全を起こし、我々の住まう地域のコミュニティーにも変化を起こします。また親の働く環境が変わり、子供の数が減っているのに保育園に入れない子供が増え社会問題化しています。子供を愛する親の気持ちはいつの時代も変わりませんが、子供を育てる親を取り巻く環境の変化に親が笑顔を忘れてはいないでしょうか。子育てをしている親が抱える不安を様々な面から取り除き、笑顔が溢れるような運動を展開することが必要です。

今のままの状態が続いた未来に起こる問題はある程度予想できる。であるならば、今ある問題を解決するためにできることが何なのかを考え、未来を変えようではありませんか。我々の活動エリアは広く、子育てに関して色々な面で地域間格差があります。NARITAを一つにするためにも、いち早くこの問題に取り組まなければいけません。


【新たな価値を創造する青少年健全育成】

少年の翼とわんぱく相撲は成田青年会議所が継続して取り組んできた青少年健全育成事業です。継続事業は一定の成果を毎年残すことが期待できますが、毎年同じことをやるという固定概念がメンバーの意識に潜在的に存在し、青少年を取り巻く環境の変化に柔軟に対応することが難しいこともまた事実です。継続事業としての歴史を紐解き、過去からつながる現在をしっかりと把握しなければなりません。

両親が共働きである家庭の増加、6人に1人の子供が貧困という子供の環境が多様化している現在、子供が未来に希望をもち、自分を変えることができる青少年健全育成事業も例年通りというわけにはいきません。なぜ成田青年会議所がこの青少年健全育成事業を行わなければならないか。このことを常に意識し、その上で継続事業に新たな価値を見いだせたときに我々は次のステージに進むことができると確信しています。

青年会議所は世界に117のNOMが存在し約16万人のメンバーが在籍しています。国際連合のマークを付けることが許されている唯一の民間団体としての責任を果たすことが必要です。その一つとして国連持続可能な開発目標(United Nations Sustainable Development Goals :UN SDGs)について、国際空港を有するNARITAだからこそ身近な課題として取り組まなければなりません。2030年を生きる青少年に世界を身近に感じてもらうことで、地球規模でものごとを考えられる人材を育成します。


【真理へ到達する確固たる組織運営】

日本国内には697のLOMが存在し、それぞれの地域で運動を展開しています。全国的運営の総合調整機関である日本青年会議所の役員を輩出する今年は、日本中のLOMとのつながりを強く意識することになります。そのつながりに感謝し、様々な運動にコミットするには、スムーズな連絡調整ができるLOMの体制の構築が必要です。また、各種大会やフォーラムは様々な学びを得る絶好の機会です、今後も参加したくなるような設営をし、メンバーに成長の機会を提供する必要があります。

一方NARITAに目を向けると、このまちには様々な団体が存在し活動をしています。それらの団体との連携は、平時のみならず有事の際に我々ができる活動の幅を広げてくれます。日頃より関係諸団体との連携を密にすることが重要です。

また、組織を運営していく上で規則を忠実に守ることは必ず求められます。しかし、組織を運営していると、その規則がなぜ作られたか、なぜ必要か、といったことは忘れ去られてしまいます。一般社団法人に移行してから5年が経過した今、そのことを振り返る時期にきています。公益法人制度改革とは何だったのか、青年会議所が青年会議所であるためにも学ぶことが重要です。その上で単年度制である青年会議所において、それらの知識を継承していく仕組み作りが求められています。

当たり前のことを当たり前に行う。簡単なようで難しいことに正面から取り組み、ものごとの真理に到達するために、「誰のための、何のための」を強く意識した確固たる組織運営をいたします。


【成長をLOMに伝える出向】

私が入会したての頃、当時出向していたメンバーが何をしているのかわからないことがあり、そのメンバーと出向とは何なのか討論したことがありました。今は自身の出向経験もあり、何をしていたか理解できます。私は出向することにより様々な土地で様々な人と出会い、刺激を受けてきました。LOMとは違うスケールの事業、設営の綿密さ、人間的魅力溢れたメンバー、すべてが私の財産であります。

それらの財産があるから「NARITAをもっと良くしたい。」そう思うようになりました。「井の中の蛙大海を知らず」の言葉が示しているように、地域のことだけをやっていては、時代の流れに取り残されてしまうばかりでなく、地域を俯瞰的に見ることができなくなってしまいます。青年会議所でそうならないためにはLOMをでて学びを得ることが必要です。成田青年会議所の看板を背負って出向すれば成長の機会は必ず提供されます。

しかし出向して得た知識、経験、気づきをLOMに伝えていますでしょうか。伝えることで己の成長を確認できますし、何をしなければいけないかがわかります。個人の成長なくして組織の成長はありません。成長した出向者がLOMを力強く牽引していく、そのためにも伝える努力を怠ってはいけません。


【むすびに】

この理事長所信の文章の節々に青年会議所で出会った方々の言葉が入っています。人の話を聞くのが好きではなかった私が青年会議所で色々な方に出会い、影響され、成長し、変わったから今があると思います。


次の世代につなぐためにどんなNARITAが良いか真剣に悩み、知恵をだし、できあがった未来のNARITAのイメージを共有し、我々が心を一つに上を向いて走ればきっと素晴らしいNARITAになります。しかし、挑戦しなければ成果もでません。団結なければ大きな壁も乗り越えられません。自信を持ってください、皆さんが歩んでいる道は紛れもなく明るい豊かなNARITAに続く王道です。私の夢はこの所信に描きました、さぁ一緒に未来を創りましょう。


不連続の連続といわれる青年会議所が紡いできた歴史があります。だからこそ今を大切にしよう。未来は今、始まるのだから。